2010年05月16日

インシャーアッラー(プロローグ)




             天空とその星々は御身のために楽を奏でる




       太陽と月は御身をほめたたえる




                  神々は御身をほめそやす




          女神たちは御身のために歌う






                 ハトホル神殿の壁に残されている言葉より









一年ぶりの旅がはじまる



エジプト



ついにこの日がやってきた


何千年待ったことだろう



そもそもエジプトへの旅は、以前から計画されていたにもかかわらず
なかなか実現しなかった

言語の問題もあった

今回は、前職場の同僚でアラビア語に長けているSさんに全面的にお世話になる

というか、彼女の10年ぶりのアレキサンドリア来訪に着いて行く感じだ




2010年1月15日
中野のフェイバリット沖縄料理「あしびなー」での「行ってきます会」

なぜか突然、女性トンコリ奏者が現れ、旅の安全を祈願すべく演奏していただいた


順調なすべりだし。








                プロローグ



2月14日
ひさびさの成田空港

今回は一人旅ではないので、いい意味で気持ちが緩んでいる

すいているチェックインをすませ、蕎麦で軽く日本人のお腹を満たす



そして

アムステルダム乗り継ぎのエジプトということで

またしてもKLM航空


今回はスパルタだった

昨年のアイルランドの時にあった座席前の液晶がない

首の角度70度に迫るミニスクリーンを見るしかない

まだ日本で公開されていない、最新と思われるタイムスリップ・ラブストーリーもの

いまいちだ

あの時の「ウォンテッド」のような啓示的なものを期待しすぎなのだろう

『なにしにきた?』




アムステルダムのスキポール空港に到着

なつかしい

やっぱりオランダ人でかいな〜

ギャラリースペースも健在

1年前の記憶がよみがえる



『旅の最後を演出すべく、スタイリッシュなレストランでボロネーゼのパスタとビールを注文した

前のテーブルにはそうとう酔っ払ったパイロット風(休日かコスプレなのだろう)の兄ちゃんと彼女(かもしれない)が楽しそう』



レストランも変わらず

前のテーブルには誰もいなかった


チェックイン
スタートレックちっくなカプセルに入り、自分の安全性を確かめられ
カイロ行きの航空機に乗り換える


すると

おー

ちゃんとついているではないのー

え・き・しょ・う

がー!



日本語字幕無し「イングロリアス・バスターズ」!!!!


やったことを忘れさせないよう、額に印を刻む

いろいろな言語が飛び交う展開



この二つで充分だった

自分が何をしに行くのかが、少しずつ浮かび上がってくる


ありがとう、エジプトに行ってきます。


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2010年05月15日

ナイル・サーフィン



              第一部 ナイル・サーフィン




DAY1


午前2時のカイロ空港に到着


火星を意味するカイロという地名



KLM機のドアが開く


タラップを降り、1番下の段からアメリカ横断ウルトラクイズよろしく
ジャンプでカイロの地を踏む


ブザーはならなかった


デヴィッド・ボウイの「ライフ・オン・マーズ?」のエンディングが
深夜の滑走路中に響き渡っていることもない



つごう19時間のエコノミー症候的な心地よい疲労感に引き続き
初上陸したアフリカ大陸からごうごうと湧き上がる歓迎の波動が
足の裏から静かに高まって来る
欽ちゃんの仮装大賞の電光表示板のように


入国審査
日本の常識が常識ではなくなる場に入る
カオス空間

「ワンライン、ワンライン」
空港係員は「お前らゆるいぞ、一列にならべ」と言っているが
どう見てもそっちのほうがゆるすぎる



ほんの一瞬、北海道の新千歳空港にいる感覚に陥った
懐かしい場所に帰ってきた?
いや、場所にではなく
人々のおおらかな魂に共通の何かをかいま見たのだ
早くも



入国完了
さっそく街までの白タク交渉(宿泊もここで決めた)
このうさんくささは自分ひとりだと無理だった
Sさんの本領発揮、ありがたい


ついに来た
タクシー窓越し
まずは深夜の初入国独特の意識と、もやっとしたイスラムの光景が同期する


しかし


場所がわかっているはずの運転手の兄ちゃんは確実に迷っている


わかったこと、ふたつ

(1)エジプト人はぜったいに「わからない」と言わない。

(2)「ちょっと待って」を「ワン・ミニッツ」と言う。



そして宿に到着してチェック・イン


かなり近そうな外のスピーカーから大音量のアザーンが聞こえる

アザーンとは?
毎日5回ある礼拝の呼びかけ
鐘や笛などの楽器ではなく、美声の人が詠唱で知らせる素晴らしい方式
最初は気になるくらいなのだが、そのうち癖になる


部屋の角のカーバ神殿に見えるバスルームスペースを見つつ

まずは仮眠

Sさん、本当におつかれさまでした







朝の風景
ベランダから初めて見るモスクが
スター・ウォーズに出てくる砂漠の宮殿に見える

こりゃ、ルークとレイヤ姫だな。。。。


屋上に作られたサイケデリックなカフェ空間で朝食

窓から龍のように通り抜ける風が
まだぼうっとしている自分の身体も通り抜ける


すべてができすぎだ




いよいよ街へ繰り出す

まずは、たまもののナイル川にご挨拶

やっぱ川ですよ


初めての土産物屋でお茶が出されて、パピルス画の説明がはじまる

買うのを断っても、名刺を渡され、じゃーまたとクールに別れる

お茶まで飲んで、日本人の感覚では買わないでは済まされない状況でもだ

商人でありながら、純粋に話好きな人たち

少なくとも余裕がある



考古学博物館がおもしろい

自分のヒーリングの意味がするするすると解き明かされる(割愛)

ネフェルティティ像やツタンカーメン像などの大物を目の前にして感動

それにしても雑然とした展示にはおそれいる

旅行者と現地の方の入場料の格差が大きいのも素敵(どこもそうだった)



上野の裏道のような自動車修理店並ぶところで初ランチタイム
フール&ターメイヤのサンドウィッチ
美味〜い!


食べ物を美味しく工夫する
それは人間の偉業のひとつだと思った
空腹が永遠の高級料理だとしても

アイルランドでは量だった
細胞に飢餓の記憶がより強くあるからだ



地下鉄に乗って、カイロ発祥の地とされるオールド・カイロ地区へ行く

コプト教(エジプトに根付いた原始キリスト教)の教会
ディズニーランドの中世ヨーロッパ町アトラクションの中で、普通に人々が住んでいるといった不思議な空間
聖なる地なのだが庶民的
後に聞いた話では、地下にキリスト一家が潜伏生活をしていた場所があった(あ、ちゃんと見てました)



そして
わかったこと

(3)チョ〜がん見される。


特に純粋な可愛い子供たちに


ここでの自分は、芸能人か皇室の者にでもなったような歓迎ぶりが展開される
イスラムの「貧しい者や旅行者には施すべし」の教えがあったとしても
やりすぎじゃないかーというくらい展開される

この日のためにたくわえたヒゲが功を奏しているのか

役所広司風の髪型が珍しいのか

Sさんはそれ以上にモテモテなので、毛の問題ではない

いや、大いに毛の問題なのかも知れない

いずれにしても含味されるのは間違いない



通り過ぎる町の空気にフィルターがかかり、映画のように「何か」を通して
現実を見ている


夕刻のアザーンとともに、夕日が沈むナイル西岸を黄昏れるひととき


無邪気な子供に
持っている水を分け合って笑う

たかりの子供に
無視してたらファックユーを連発される


すべてができすぎだ





ここカイロでは、橋がキーワードとなった


流れている川を下に見て、橋を渡り
歩いている空間を他者と分かち合い
それが熟成すると、もうひとつの新しい場所へ移動する



Sさんとひたすら歩くのが楽しい夜のカイロの街並み

ナイル川に沿ってサーフィンしているかのように



川にはベリーダンス音楽をかけて進んで行く屋形船

ときおり大きい道で車をかわして渡る緊張感

遠くに見える、夢に出てきそうな継ぎ足しのビルと喧噪のマッチング

この夜のサーフィンは一生涯忘れないと思う




ようやく宿の近くまで来る

昼間は特に何もない広場が、夜はすごいことになっていた

ひっそりとしていた映画館も同様、入口前は多数の男女でごったがえし、楽しそう
演っているのはコメディみたいだ


初日を祝って、テイクアウェイしたシャワルマサンド、サラダでディナー
あまりない酒屋(イスラム教では豚肉とアルコール禁止、買うと黒いビニール袋に入れてもらえるので、すぐわかる)で買ったステラビールが最高です!

恒星を飲み干して、エジプトの旅は始まった






DAY2


エジプトに来たら行くところ


それは?


はい、そうですねー


ピ・ラ・ミ・ッ・ド


やね♪


行きも帰りも、それぞれに渋かっこいい兄さんに助けられつつ
市民のバスで移動
さすが敏腕交渉人Sさん!いい仕事してます


今回カイロでの唯一の遺跡観光

期待感でワクワクなその時、車窓から


見えましたー


星くん
あ、あれがピラミッドですたい


本物だ

遠くから見ても大きいのがわかる

さすがに不思議な光景


と、到着



ギザのピラミッドの中に入るツアーは完売

いや、入らなくていいんですよー

そうそう

入らなくていいんです



ラクダ乗りの、砂漠の嵐のようなしつこい客引き攻撃に悩まされつつ
カフラー王・メンカウラー王・クフ王の三つのピラミッドをまわる


ひそやかに
ピラミッドに来た時のための第三の目ワーク(割愛)をやっていると

感じの良い少年たちが集まって来た

「いっしょに写真撮ってもらっていいですか?」

やっぱりオレは役所広司なのか?

「バベル」観てるか?じぶん?



観光地は精神的にも肉体的にもパワーがいるので、これが真夏だと厳しかった

意外と小さいと思った(ピラミッドと比較して)スフィンクスを堪能して
ここを後にする



この日のランチは炭水化物爆弾のような「コシャリ」
Mサイズで注文したのだが、量が多い
本当に美味しくて大満足、大満腹
なので、てくてく歩いてちょうどいい


てくてく後、タクシーでイスラム地区へ
人を乗せていても方向がいっしょであれば乗せてくれる
その運転手が妙に潔癖だ
綺麗な車内に違和感を感じつつ
ラッシュでなかなか進まない道路の出来事を楽しむ

運転手に悪態をつかれても頑張っている交通整理のお兄さん
車をかき分け、たくさんのパンを売っている青年
ひとつひとつ楽しむ

降車時に「これじゃ足りないよー」と激怒する潔癖

「本当に怒っていたら出てきますよ、ちゃんと払っているので降りて大丈夫です
あわよくばですよ」
Sさん、さすが

怒っていた潔癖おやじは静かに行ってしまった



文芸映画のセットに迷い込んだようなイスラミック庶民エリア

自分がここに存在しているのか
上から大きな目で確認したくなる
子供や猫たちのように生き生きしているのだろうか


日暮里繊維街のような生活者スーク(市場)を通り
浅草仲見世通りのような大観光客スーク「ハーン・ハリーリ」

それぞれに違うものの、女性たちの買い物パワーには好感が持てる
宗教は関係ない



帰りに通った夜のアタバ市場がとんでもなくカオス

激しく行き交う音と光と洪水が、歩いている脳細胞を刺激する

夢の中を歩いている感覚

ずっと歩いていたくなる

人はこういう状態に置かれると覚醒のスイッチが入る


スークトリップ!!!!

スパイスと漢方薬の店に入ってみる

スイッチはまだ入りっぱなし。


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